新水IBUKI通信 2020年 師走 00106号
住宅街のお蕎麦屋さんでの嬉しい出来事。
Y.I(東京都)
一年の締めくくりでの出会い!
実家の父親と会うため、久しぶりに札幌に帰りました。
食品関係の会社勤めをしていた父も定年退職をしてからは、ゴルフを唯一の趣味にしていた日常でした。
しかし、コロナ禍でそれらもほぼ休止状態が続いているようでした。
そんな父と半年以上ぶりに数日間を一緒に過ごしました。
ある日、外で昼食を……ということになって、父が時々、出向いている住宅街にある民家風のお蕎麦屋さんに行くことになりました。
民家風と言いましたが、正確に言えば、そのお蕎麦屋さん、1階をお店にして、2階で老夫婦さん、と言っては失礼ですが、生活をされているとのことでした。
ベランダもあって、そこにはお庭もあり、なんと葡萄の蔓がベランダの透明アクリル板の天井を覆うように育っていました。
晴天のお昼でしたので、緑の葉と青空が一緒に目に入るベランダ光景は、チョッピリ、料亭の雰囲気も醸し出していました。
新蕎麦の季節なので、シンプルにもり蕎麦をいただきました。
美味しかったのでそれだけで満足していたところに店主の奥様が
「今年、ウチの庭で実った葡萄ですが……」
と言って、小皿に載せた一房を提供してくれました。これもまた新鮮そのもので、しかも甘く、素敵なデザートでした。
満足顏の男客二人に、さらに奥様が 「よろしかったら、コーヒーもどうぞ!」 と言っていただいたのには、ビックリしました。
何と!コーヒーセットを載せたお盆には、
「新水いぶき」の未開封パックが載っていたのです。
どこまでもホンモノ志向の店主さん、だから根強いファンを多数抱えていらっしゃるのだなあ……と、父親からかねて聞いていたオハナシを実体験させてもらいました。
お昼のピーク時を過ぎたところで、店主さんは、蕎麦打ちの作業を調理場の隣にあるガラス窓越しに見学できる小部屋で始めていました。
自家製の蕎麦をこのようにして店主、自らが製造している姿も「味」のある光景でした。
コロナ禍前は、時々「お蕎麦教室」も開催されていたそうですが、道産のそば粉を重用しつつ、天ぷらでは道内産の食材を優先的に使うなど、地域に根付いている人気店なのですね。
数年前、地域密着をうたい文句にしたテレビ番組で紹介された時は、数か月は忙しくて大変だったようです。「常連客さんが遠慮してしまってねえ……」と店主さんは苦笑いしていました。
父には、「ようやく少し落ち着いて、常連客さんも戻ってきてくれています!」と話されていました。
評判になる……ことは歓迎したいことでしょうけれど、それもホドホドに、という希望は、ワガママということになってしまうのでしょうか?
この店主さん、もともとは道産子さんですが、全国展開していた大手流通会社に勤めて、グループ会社の代表もされていたビジネスマンだったそうです。
望郷の念が湧いたのかどうか?
ともかく、早期退職をして趣味だった「蕎麦打ち」を故郷で堪能しようと第2の人生を切り拓いてきたのでしょうか。
大げさな装飾品などを排除したスタイルは、何かツウ好みに向けたメッセージのようでもあり、店主さんと客側の贅沢な信頼交流に思えました。
そして、その決め手は「新水いぶき」でした。
【編集】北海道良水(株) 「遠友いぶき・ひと花プロジェクト」
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