北海道良水株式会社

新水IBUKI通信 2023年 弥生 00133

単なる食通さんでナカッタ作家さん
М.I(岩見沢市在住)


積雪には慣れているつもりでしたが、今年も冬と雪がもたらす天然の恵みに「ここまでは勘弁してね!」と呟きながら除雪作業に時間とエネルギーを費やす日が何日もありました。

そんなひと時に除雪された家の前の道路を出勤のために歩いていかれるご近所さんと挨拶できるのは、気持ちを軽くしてくれました。
笑顔で
「今朝は大変ですねえ……」
と声をかけて下さることで、スコップの雪も何故か軽く感じてしまうのは不思議なものです。

そんな積雪が与えてくれるココロの交流は、雪国ならではものでしょうね。
その親戚?筋になるでしょうか。
「積雪」ならぬ「積本」という言葉がどの程度一般的かも分かりませんが、部屋の隅っこに積まれてしまったままになっている書籍の背表紙がフト眼に入り、ひきこまれてしまう事は珍しくないかと思います。

先日、17年前に発行されたもので、6年前に新装版としての文庫本になった……という本に再会致しました。
タイトルが『食の王様』というものでした。
表紙を包む帯のようなカバーには
「食欲を極めた作家による珠玉のエッセー集。」
とありました。
この方、1930年に大阪で生まれ、会社勤めする時代には、宣伝部に所属されていて、1958年に芥川賞を受賞、その後、会社を退職して作家として1968年には毎日出版文化賞、1979年に川端康成文学賞、1981年に菊池寛賞、1989年に日本文学大賞を受賞と知りました。

冒頭に記したエッセー部分には「太平洋戦争が終った年、私は中学三年生であった。」とあり、

ご自身が「栄養失調でたちぐらみがし、それがこわくて風呂に入りたがらないでいるような中学生」だったとありました。
父親を早くに亡くして、戦中も戦後も暮らしがつらかった……とも。

一時代を席巻したような売れっ子の作家さんね!と知ったかぶりで口にするのも、普通の世間での会話かと思いますが、何かのきっかけで立ち止まって、もう少し詳しく正確に知ることが出来たら、それは幸運かも知れませんね。

というのも、積雪、積本に誘導されたのでしょうか、フト思い付いたのです。
『水の王様』って!
地球上にはアチコチに王様がいらっしゃるでしょうけれど、水にも王様がいても不思議ではありませんよね。そうです、その一つが札幌生まれの「新水いぶき」ではないでしょうか?
謙虚に「その一つ」と言うのが、「新水いぶき」らしい上品さかと思います。

そんな「積雪」「積本」に誘導されていた時に、これまた初めて目にしたフリーペーパーで出会った研究者?エッセイスト?さんの一文がありました。

これまた当方の無知ぶりを披露するだけですが、そこには
「明治期には中・上層の家庭では女中を雇い、直接手を下さず指図をするのが主婦の役目だった。」
とありました。
大正時代の産物として「衣食住を上手に切りまわす主婦像」があった事を学ばせてもらうフリーペーパーでした。
そんなこんな事に気付くキッカケを「新水いぶき」を飲みつつ得たご報告をさせてもらいました。

【編集】北海道良水(株) 「遠友いぶき・ひと花プロジェクト」

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